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2008.03.21  幸福の記憶 <<00:49


一番幸せだった時って、いつだと思う、 と
久しぶりにベトナムから帰国した妹とたわいないおしゃべりをした。
電話を切ったあとで、
「本当に一番幸せな記憶として残っているのはなんだろう?」
と改めて考える。
そのたびに思い出すのは
大学2年生のある日のこと。
私は貧乏なバックパーカーで
アメリカをひとりで6ヶ月旅していた。
(古いお客様にとっては、聞いたことのある話かもしれないので飛ばしてね)

アメリカに留学させてくれ、と中学2年生のときから親にせがんでいたが
「アメリカなんかに行ったら、薬物中毒になる」
と固く信じている両親のおかげで
なかなか行かせてもらえなかった。
「じゃあいいわよ、自分で行くから」
と、高校の時から必死にアルバイトをして
初めてアメリカに行ったのは大学2年のとき。
アルバイトだけでは到底足りなくて(その前に、英語学校にも資金を投入していた)
銀行からお金を借りていったものの
4ヶ月くらいで所持金が底をつき
もっているモノを売ったり、
人の家でおにぎりを作って(お米も炊飯器もすべてお友達のものだったけど・・)
それを売ったり、
あるときは農家の納屋で寝泊まりしたりして
「まだまだ帰りたくないなあ」
と頑張っていた。
5ヶ月目に
シカゴの郊外から長距離バスでサンフランシスコへ行き
食べるお金もほとんどなくて
毎日浜辺でぼんやりと過ごす日が続いていた。
日本へ帰ったら、もう2度と外国へなんか来られないかもしれないと
思っていたから。

そんなある日、
カリフォルニア大学の学生が
路傍で売っているアクセサリーを見ているうちに
「なんてきれい!」
と思う指輪と出会った。
毎日、そこに通って、ちょこっとつけさせてもらったり
ほかの作品を見せてもらったり。
そのうちに、根負けした学生が
「いくらならあるの?」
と聞いてきて
「・・・5ドル」
と答えた。
「じゃあ5ドルで売るよ。
 本当に欲しいモノを手に入れることが
 どれほど大切か僕はしっているから」
指輪は450ドルで
サイズも私の指よりもずっと大きかった。
「僕のうちに来て。
 サイズ直してあげるから」
学生は体の大きな黒人で、
私はちょっと怖かったけれど、
ついていった。
「さあ、指を見せて」
と言われて、
だれもいない彼のアパートメントで
彼がぐっと近づいてきて
指のサイズをはかられたときのどきどきは今でも覚えている。
しかし、彼はさっさと工具がつまっている部屋へ行き
指輪のサイズを直してくれると
「さあ、出て行ってくれ。
 今度、僕の客になるときは、リッチになって帰ってきてくれよ」
と行って、私を厄介者みたいにぐっと押し出した。
ジーンズとダウンジャケット、それにバックパックという姿に
ゴージャスな銀の薔薇の細工に
大きな緑の石がはまった指輪は
全然似合わなくて、
私は5ドルはらった直後にちょっと後悔したのだった。
一文ナシの5ドルは大きかったし。

身にそぐわない指輪をつけたまま、
浜辺に帰ると
もう夕暮れだった。
「本当に欲しいモノを手に入れることが
 どれほど大切か僕は知っているから」
という言葉が胸に何度もこだましていた。
夕暮れのフィッシャーマンズワーフに
その老夫婦が来たのは
そんなセンチメンタルなときだった。
少し離れたところに座ったふたりは
もってきたバスケットから
ふたつのワイングラスと
赤ワインのボトルを出して
グラスに丁寧に注いでから
夕日を眺めながら
ゆったりとおしゃべりをしていた。
私は、その幸福な情景に
はらはらと涙が出てきて、
彼らのうしろであふれ出る涙を手で拭っていた。

これが私の一番幸福な記憶だ。
おかしいだろうか?
おかしいだろうなあ。
なぜ、その日なの?と聞かれても
私には答えられない。
結婚式の思い出でもないし
恋愛が最高に盛り上がっているときの記憶でもない。
子供を産んだ日のことでもないし
子育ての最中の記憶でもない。
なんで、この日なの?とあなたは私に聞くだろうか。

この記憶は私の宝物だ。
貧乏で孤独で自由で不自由でリッチだったあの日を
私は生涯忘れないだろう。
いつか、
お金を稼ぐでもなく
なにかをするためでもなく
また、ひたすらあてもない旅に出たいと思う。
いつか。
































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